起業する!株式会社を設立する方法を徹底解説

こんにちは。

Lib税理士事務所、代表の上田洋平です。

今回のお役立ちブログのテーマは、「株式会社を設立する方法」についてご紹介します。

■会社には種類がある?

起業して会社を設立しよう、個人事業主から会社へ移行しようという人が急増しています。
この記事では、そんな人のために設立までの流れまでを詳しく解説しますが、その前にまず会社には種類があることを理解しておく必要があるでしょう。
一般的に会社というと株式会社をイメージしますが、もうひとつ持分会社というジャンルがあります。
持分会社は合同会社、合名会社、合資会社の3種類の総称で、株式会社とは資金調達方法や規模・経営方法などの違いで分けられているのです。
株式会社は不特定多数の投資家などから出資を募り、出資者は株主となって会社を所有します。
経営は役員が実施するので所有と経営は分離されるのです。
これに対し持分会社は決まった人たちが資金を出し合って出資者となります。
出資者全員が利益配分や経営の決定権を持つため、所有と経営が分離されません。
この点が一番の違いですので、押さえておきましょう。
一般的に会社を設立する際選ばれやすいのは、株式会社と合同会社の2つです。

・株式会社の特徴

最もポピュラーなのが株式会社です。
会社を所有するのは株主、経営するのは役員です。
資本金を集める場合は株式を発行し、不特定多数の投資家などに購入してもらい株主(オーナー)となってもらいます。
株主は年に1回株主総会を通じて経営に関与しますが、基本的に運営は役員任せです。
ただし、新会社法が設立されてから最低資本金額が1円以上となったため、最初からまとまった資金が必須という時代ではなくなりました。
出資者も発起設立1名以上、募集設立2名以上と少なく、出資者の責任も間接有限責任です。
間接有限責任というのは、万が一会社が倒産しても責任は株主が出資した範囲のみという制限で、この場合は株主が債権者に負債を追うことはありません。
株式を多く発行すれば多額の資金を調達することも可能ですし、知名度が高く信頼性が高いのが魅力です。

・合同会社の特徴

施行されたのが2006年5月1日なので、比較的新しい形態です。
アメリカの「LLC」という事業形態をモデルとしたことから日本型LLCとも呼ばれます。
特徴は出資した人全員が社員となり、出資者が直接経営に参加するということです。
誰もが知る大手企業も合同会社の形態を取っていることもあり、知名度が上がり人気が高まっている会社形態になっています。
こちらは資本金0円で設立可能で、出資者は1名以上とハードルが低いです。
設立コストが安く手続きが簡易で運営の自由度も高いため、近年設立しやすい会社として注目されています。

■株式会社と合同会社どちらを設立すべきか?

前述の違いを踏まえ、株式会社と合同会社、どちらを設立すべきか決める必要があります。
おおまかにまとめると、株式会社は多額の資金調達を視野に入れる場合や上場を狙っている場合に適しており、合同会社はコストを抑えてとにかく会社を設立したい場合に適しています。
法人には税制面での優遇措置がありますが、株式会社も合同会社もどの点では違いは一切ありません。
ただし、初期費用ばかりに目を取られるのも誤りですので、この先事業をどうしていきたいのかしっかり考えて選択する必要があるでしょう。
シンプルに言えば、この先会社を大きくして大規模事業を行う計画なら株式会社が一番です。
スモールビジネスに特化すると決めているなら合同会社のほうが得な面も多いので、何より中長期的な事業計画を立てて考えることが優先です。

■会社を設立するのに費用はいくらかかるのか?

株式会社と合同会社とでは設立時にかかる費用に違いがあります。
以下にそれぞれ挙げてみましょう。

・株式会社の設立費用

株式会社を設立する際、電子定款にすれば最も低いコストで設立が可能です。
手続きをすべて自分で行うことを前提とすれば、20.2万円が費用となります。
項目と金額を見ていきましょう。

定款印紙代:電子定款を採用すれば0円(紙ベースだと4万円)
定款認証手数料:5万円
定款の印紙代:2,000円
登録免許税:15万円

・合同会社の設立費用

合同会社は手続きを自分で行うと、6万円の設立費用となります。
項目と金額は以下の通りです。

定款印紙代:電子定款を採用すれば0円(紙ベースだと4万円)
登録免許税:6万円

こうして見るとやはり合同会社のほうがイニシャルコストが低く抑えらえることがわかるでしょう。

■会社を設立する流れを解説!

それではいよいよ、実際にどのような流れで進めていくかを解説します。

・設立前に必要な準備

設立の前準備としてすべきことは5つあります。
詳しく見ていきましょう。

  1. 発起人を決める

発起人は資本金を出資し、定款に記名押印する人を指します。
取締役などとは異なり、あくまで設立時のみの責任者という扱いですので理解しておきましょう。
簡単に言えば、会社を創ろうと考えた人です。
発起人は株式会社設立後には株主となって意思決定に関わります。

  1. 商号を決める

商号は会社名のことで、基本的には自由に決めることができます。
ただしルールがあり、使用できる文字や記号が決まっており、株式会社なら株式会社という文字を入れなければなりません。
同一商号かつ同一所在地の企業がないことというルールもあります。

  1. 印鑑を作成する

登記手続に会社の代表印が必要なので、あらかじめ用意しなければなりません。
また銀行印などもいずれ必要なので、まとめて準備しておくことをおすすめします。
値段は関係ありませんが、個人の印鑑とは意味が違いますので、きちんとしたものを用意しましょう。

  1. 資本金額を決定する

新しい会社法では1円あれば法律上は確かに設立可能なのですが、資本金はそのまま社会的信用につながります。
税金や事業計画にも関係するので、事業を運営できるだけの金額を設定するのがセオリーです。

  1. 所在地を決める

最後に、定款を作るまでに会社の本店所在地を定める必要があります。
これは法人の住民票である「登記事項証明書」を発行し、類似商号がないかを調査する際に必要になるためです。

・申請書類を作成して提出

設立前の準備が整ったら、いよいよ設立手続のため作業となります。
ここですべきことは4つあるのです。

  1. 定款を作成する

会社を設立する以上、株式会社でも合同会社でも必ずしなくてはならないのが定款の作成です。
定款(ていかん)は会社の法律とも設計図とも言われる重要なもので、名称や所在地などのほか、事業内容やその目的などのルールを定めたものです。

  1. 資本金を払い込む

資本金を発起人名義の銀行口座に振り込みます。
会社の口座ではなく個人の口座というのが違和感に感じるかもしれませんが、登記しないことには法人用口座を作ることができないため、発起人の個人口座への払い込みになります。
振り込んだら通帳をコピーし、作成した払込証明書とあわせて1冊にまとめましょう。
確かに資本金が存在することを、法務局がチェックすることになります。

  1. 登記書類を作成する

いよいよ法務局で法人登記の手続きを行います。
必要となる書類は以下の通りです。

・登記申請書
・定款 ※謄本
・資本金の払込証明証と通帳のコピー
・代表取締役、取締役の就任承諾書と印鑑証明書
・監査役の就任承諾書と本人確認書類
・印鑑届書
・記載事項を記載した用紙

これらは製本しますが、印鑑証明書だけは除いて、重ねてホチキスで留めれば大丈夫です。

  1. 登記書類を提出して申請する

用意した書類をすべて法務局へ提出して申請します。
設立日はこの申請日になりますので、ゲンを担ぎたいなら提出する日付で考えてください。
ただし法務局まで出向く方法と郵送の2つがあり、郵送は法務局に届いた日となります。
法務局へ行く場合は、商業登記窓口で書類を見てもらい、その場でチェックを受けて不備がなければ提出して完了です。
窓口にある箱に入れるだけで提出になりますが、不備があるとまた出直しになって手間なので、その場でチェックしてもらうことをおすすめします。
郵送する場合は封筒に入れて「登記申請書在中」とハッキリ書き、自分の管轄の法務局へ郵送します。
普通便でも受理されるので普通に出しても構いません。

・受理された後の手続き

登記が無事に行われても、会社を設立するための重要な手続きはまだまだあります。
ここからはすべきことは4つありますので、それぞれ解説します。

  1. 税務署へ届出書を出す

税務署に提出する書類は4種類+2種類あります。
まず必須の4種類です。
・法人設立届出書
・青色申告の承認申請書
・源泉所得税の納金の特例の承認に関する申請書
・給与支払事務所等の開設届出書

必要であれば提出する届出書が2種類です。
・棚卸資産の評価方法の届出書
・減価償却資産の償却方法の届出書

重要なのは提出期限が決まっていることですので、登記されたらすぐに提出しましょう。
また原本とコピーとが必要で、コピーは一緒に持っていって保管用として受付印を貰います。

  1. 各地方自治体へ開業届を出す

法人が支払うのは国税以外に地方税もあるため、都道府県や市区町村にも届け出が必要です。
事業開始の届け出と同じ内容のものを提出すればOKです。

  1. 社会保険へ加入する

社会保険は義務であり必須です。
社長1人の会社でも必須ですので、役員数にも従業員数にもまったくの関係ありません。
ただし、健康保険と厚生年金は必須で、雇用保険と労災保険は従業員を雇用する場合のみです。
健康保険と厚生年金は会社の所在地を所轄する年金事務所で、会社設立5日以内に必ず申請してください。

  1. 法人用口座を開設する

法人用口座は事業を行ううえで必須なので、開設の条件が整ったらできるだけ早く取りかかってください。
金融機関にもよりますが個人口座よりずっと審査が厳しいため、メガバンクなどでは難しい場合も多いです。

■自力でも会社設立はできる!

会社設立は確かにさまざまな手続きが必要となり、大変労力のいる作業かもしれません。
でもなんのために必要なのか、どのような順番で行えば良いかを知ることで、自力でも十分会社設立できます。
また、このとき作成した書類はすべて設立した後も重要になるものなので、作成はしっかり間違いなく行ってください。