派遣業許可取得のためにクリアする壁となる財務要件とは

こんにちは。

Lib税理士事務所、代表の上田洋平です。

今回のお役立ちブログのテーマは、「派遣業許可取得のためにクリアする壁となる財務要件」についてご紹介します。

■さまざまな条件を満たす必要がある

建設業許可を取得するには、特定の国家資格を所持する専任技術者の設置など、いくつかの条件を満たす必要があります。
その中に財務要件がありますが、特定建設業許可の財務要件は、一般建設業許可のそれよりもハードルが高いと言われているのです。
ここでは、特定建設業許可を取得するための財務要件について解説します。
新規で法人を設立する際、どんなことに気を付ければ良いかについても言及しますので、特定建設業許可の取得を検討している場合は、参考にしてください。

■特定建設業許可について

建設業許可は、「軽微な工事」以外の工事に必要な許可のことで、工事の種類には「一般建設業許可」と「特定建設業許可」があります。
「軽微な工事」とは簡単に言うと、500万円未満(建築一式工事は1,500万円未満)の工事を言うのです。

・一般建設業許可とは

国土交通省は、一般建設業許可を、特定建設業許可以外の工事に適用される建設業許可としています。
言い換えると、軽微な工事以外の工事を受注し、自ら行う場合は、一般建設業許可で十分ということになります。
下請けとして工事を受注し、施工するというのなら、特定建設業許可ではなく一般建設業許可を取得する、と考えて良いでしょう。

・特定建設業許可

工事を受注し、それを下請けに出すと、特定建設許可が必要になることがあります。
国土交通省は、「受注した工事を下請けに出す場合、工事代金の総額が4,000万円以上(建築一式工事の場合は6,000万円以上)」になる工事を施工するには、特定建設許可が必要になるとしているのです。
元請けとして下請けに受注した工事を発注する場合、工事費用の規模によって、特定建設業許可の取得が必要になります。

・特定建設業許可はハードルが高い

特定建設業許可には、一般建設業許可と異なり、「工事代金の総額が4,000万円以上(建築一式工事の場合は6,000万円以上)の工事を下請けに発注する元請け」と、条件が設定されています。
そのため特定建設業許可の取得は、ハードルが高くなっていますが、「下請けの保護」ということが理由に挙げられるのです。
4,000万円規模の仕事を下請けに発注するため、もし元請けの財政基盤が弱く、工事の途中で倒産したり、支払いが遅れたりすると、下請けは大打撃を受けることになります。
適切な建物を建てるには、下請け業者に対する管理・指導は不可欠です。
元請けにはそれなりの技術力と経験が求められるため、厳しい条件の設定が必要です。
クリアが難しい要件を設定することで、許可を取得した元請けのレベルは必然的に高くなります。

■特定建設業許可に必要な財務要件について

特定建設業許可に必要な財政要件には、「欠損の額が資本金の20%以下」「流動比率が75%以上」「資本金が2,000万円以上」「自己資本が4,000万円以上」の4つあり、許可取得には、要件を満たすことが条件になります。

・欠損の額が資本金の20%以下

法人で言う「欠損の額」とは、繰越利益剰余金がマイナスの場合、そのマイナス額が資本剰余金・任意積立金及び利益準備金の、合計額を超えた額を言います。
繰越利益剰余金は貸借対照表で確認しましょう。
計算方法はまず繰越利益剰余金から資本剰余金・任意積立金・利益準備金を合計した金額を差し引き、その金額を資本金で割ります。
20%以下であれば、特定建設業許可の財務要件を満たすことになるのです。
資本剰余金・任意積立金・利益準備金の合計金額が、繰越利益剰余金を上回る場合は、すでに要件を満たしていますので、計算する必要はありません。

・流動比率が75%以上

流動比率は、流動資産の合計を流動負債で割り、100をかけて割り出されます。
流動比率が75%以上であれば、財務要件を満たしています。

・資本金が2,000万円以上

資本金とは簡単に言うと、株主や投資家などの出資者が、会社に出資したお金のことです。
会社を立ち上げる際に必要な運転資金だけでなく、事業を円滑に進めるために必要な出資金も、資本金に含まれます。
特定建設業許可を取得するには、2,000万円以上の資本金が必要になります。
2,000万円以上ですので、ちょうど2,000万円でも、1億円でも問題ありません。

・自己資本が4,000万円以上

貸借対照表に「純資産合計の額」という項目がありますが、これが自己資本になります。
個人の場合はこれと異なりますが、法人なら純資産合計の額が自己資本と覚えておけば良いでしょう。
自己資本が4,000万円以上というのが、特定建設業許可を取得する財務要件になります。

・財務要件すべて満たすことが条件

特定建設業許可を取得するための財務要件は4つありますが、どれか1つを満たせば許可を得られるというわけではありません。
財務要件すべて満たすことが条件で、1つでも欠ければ許可を取得できませんので、間違えないようにしましょう。
4つの財務要件を満たさなければ、受理してもらえないと考えるのが無難です。
許可を得る際は、申請する直前決済から、財務要件すべて満たしているかどうか確認する必要があります。
満たしている場合は、決算変更届を地方自治体に提出します。
特定建設業許可を申請する際、財務要件を満たしているかどうかの確認資料は必要ありません。
「財務諸表」をチェックすることで、欠損の額・流動比率・資本金・自己資本すべてが確認できるというのが理由になります。
1度特定建設業許可を取得したら、2度と申請する必要はない、と思うかもしれませんが、特定建設業許可には有効期限があり、5年経つと失効するのです。
特定建設業許可を持ち続けるには、5年ごとに更新する必要があり、申請するたびに、財務要件を満たしているかどうかチェックされます。
執行した特定建設業許可は、自動的に一般建設業許可に切り替わるというわけではなく、一般建設業許可は別に申請する必要があります。
一般建設業許可も有効期限は5年間で、更新しないと失効してしまいますので気を付けましょう。
ですが、継続して工事を請け負い、実績を出し続けていれば条件を満たしますので、財務要件は考慮されずに更新可能になります。

■新規設立で特定建設業許可を取得するには

新しく法人を設立する際、特定建設業許可の取得を検討しているなら、「資本金」と「自己資本」の財務要件を満たすように会社を設立しましょう。
新規設立のため、「欠損の額」や「流動比率」の財務要件は、必然的にクリアします(新規設立では、欠損の額0%、流動比率100%となります)。
一番簡単なのは、資本金を4,000万円にして会社を設立することです。
そうすると、資本金の額だけでなく、「自己資金4,000万円」という条件も満たすことが可能になるからです。
資本金2,000万円・自己資金2,000万円で設立しても、条件を満たします。
欠損の額と流動比率は、資本金4,000万円のケースと変わりありませんが、資本金2,000万円、そして自己資本(純資産合計)は4,000万円になります。
このパターンはあまり例がなく、「資本金は4,000万円」というのが当たり前のように浸透していますので、「財務要件を満たしていないのでは」と思うのも不思議ではありません。
ですが、資本金が4,000万円に満たなくても、財務要件を満たす場合があることを、覚えておきましょう。
財務要件を満たしていることを確認してから会社を設立するのが理想といえます。

■財務要件を満たすことを忘れずに

特定建設業許可を取得するには、財務要件を満たすことが必須条件となっています。
財務要件は4つありますが、すべてを満たすことが許可申請の条件になりますので、「1つ満たしていれば良い」としないよう注意が必要です。
会社を設立してから特定建設業許可の取得を考えるなら、財務要件を満たすことも忘れないようにしましょう。