消費税免税期間を活用する考え方とは

こんにちは。

Lib税理士事務所、代表の上田洋平です。

今回のお役立ちブログのテーマは、「消費税免税期間を活用する考え方とは」についてご紹介します。

■消費税免税期間の活用方法をご紹介

会社は通常、商品を販売することで得た消費税を納税する義務がありますが、消費税免税期間中は、その義務が免除されます。
消費税免税期間が適用されるかどうかには、条件がありますが、適用された場合、どのように活用したら良いのでしょうか。
考え方によっては節税対策につながるなどのメリットが得られます。
ここでは、メリットを最大限に活かした、消費税免税期間の考え方についてご紹介します。

■消費税免税期間とは

消費税免税期間は、会社を設立した1期目と2期目は、消費税が免除される制度です。
この期間法人は免税事業者となり、納税義務は発生しません(納税義務のある法人は課税事業者と呼ばれます)。
また、消費税の納税義務が免除されているこの期間は、消費税の還付を受けられなくなります。
消費税免税期間は、すべての法人に適用されるわけではなく、免税事業者となるには、いくつか条件があります。

・事業初年度に免税事業者となる条件

会社を設立したとき、免税事業者となるには、資本金が1,000万円未満であることが条件となります。
ここで言う資本金とは、登記申請した際の資本金のことで、貸付金など貸借対照表に記載されている金額とは異なるのです。
設立した会社が子会社である場合は、免税事業者の条件から外れます。
また、出資した会社が課税売上高(消費税を抜いた売上)5億円以上の規模で、50%以上の出資を負担した場合も、その会社は免税事業者とみなされません。

・2期目も免税事業者とみなされる条件

2期目は、1期目の条件に加え、売上高が1,000万円以下という条件が付きます。
ここで言う売上高とは、課税売上高のことで、特定期間(事業を開始した日から6ヶ月間)中売上高が1,000万円を超えなかった場合、その会社は免税事業者とみなされるのです。
従業員を雇っている場合、給与支払額が1,000万円以下というのも、免税事業者の条件になります。
たとえば事業を開始した初年度の売上高が500万円で、次の年は800万円だったとしましょう。
この場合1期目も2期目も消費税の納税義務は免除されます。
1期目の売上高が900万円、2期目が1,200万円の売上高だった場合、1期目の消費税納税義務はありませんが、2期目については納税義務が発生するのです。

・事業初年度が7ヶ月以下の場合

免税事業者になるには、いくつか条件がありますが、一つ例外があります。
それは1期目の期間が7ヶ月以下の場合です。
事業年度が7ヶ月以下の場合、特定期間の条件から外れますので、条件を満たさなくても免税事業者とみなされます。
1期目が7ヶ月以下になるよう会社を設立すると、消費税免税期間が1年7ヶ月以下となり、2年未満となりますが、売上高や従業員に支払う給与の学に関係なく、消費税免税期間中は消費税の納税義務が免除されることになります。

■節税を意識した消費税免税期間の考え方

消費税免税期間は、会社設立日によって長くなったり短くなったりするため、自分の都合に合わせて調節することが可能です。
ですが、節税を意識した場合、消費税免税期間について、どう考えるのが賢明でしょうか。
基本的には、消費税免税期間が長くなればなるほど節税効果が期待できるため、1期目と2期目は、事業年度をできるだけ長くするというスタンスになります。
事業年度は1年間と決められていますが、必ず365日を満たす必要はありません。
会社は事業をスタートさせる際、会社設立日と決算月を決めます。
会社設立日から決算月までをその年の事業年度とし、会社は財務状態などを明らかにします。
会社設立日も決算月も自由に決められますので、5月1日を会社設立日、4月30日を決算月としても良いですし、4月1日を会社設立日とし、5月31日を決算月としても問題ありません。
問題があるとすれば、消費税免税期間のメリットを考慮したときでしょう。
上記の例で言いますと、会社設立日5月1日・決算月4月30日の事業年度は12ヶ月になりますが、会社設立日4月1日・決算月5月31日とすると、消費税免税期間は2ヶ月となってしまいます。
1期目の事業年度は2ヶ月、2期目の事業年度は12ヶ月で免税期間は終わり、すぐに3期目に突入することになります。
消費税免税期間のメリットはなんといっても消費税の納税義務が免除されるという点です。
そのメリットを最大限に活かすには、納税義務が免除される期間をできるだけ長く設定することが望まれます。

■消費税免税期間を活用した決算月・会社設立日の決め方

消費税免税期間のメリットを活かすなら、決算月は会社設立日の前月に設定するのが基本的な考え方になります。
決算月を3月31日とする企業は多くありますが、もしそうするのなら、会社の設立は、4月が望ましいといえるのです。
このように設定すると、1期目と2期目あわせて2年間となり、その間消費税の納税義務が免除されることになります。
事業年度は自由に設定でき、365日に満たなくても問題ありませんが、1年を超えて設定することはできません。
つまり、消費税の納税義務期間を少しでも伸ばそうと、4月1日に会社を設立し、翌年の6月30日を決算月とすることは不可能ということになります。

・決算月を変更する際の注意点

一度決めた決算月は、後で変更することも可能ですので、事業をスタートさせ、売上の状況によって決算月を変更することも、節税対策につながることがあります。
決算月は、登記事項に記載されていません。
そのため決算月を変更するには、株主総会を開き、定款変更する必要があるのです。
変更後税務署に定款変更を届け出ることで、変更手続は完了します。
変更手続の費用はかかりませんが、頻繁に変えるという項目でもありませんので、変更する際は十分考慮してから決めるのがおすすめです。
株主には、決算月を変更する理由を説明する必要があります。
決算月を変更することで利益を予想しやすくなるなど、理由には説得力のあるものが必要になりますので、事前に税理士に相談し、専門的なアドバイスを受けておくことをおすすめします。

・節税対策につながる会社設立日の決め方

会社設立日によって、支払う税額が異なることがあります。
会社を設立すると、均等割という税金の支払義務が発生しますが、消費税の納税義務期間中であっても、支払う必要があるのです。
月の初めの日を避けて会社を設立すると、その月の均等割を支払う必要がなくなりますので、節税対策につながります。
均等割は、会社の売上に関係なく、その年に支払う税金になりますので、1ヶ月でも支払う義務が免除されると、数千円の違いが出てきます。
たとえば均等割が年間60,000円とした場合、1ヶ月5,000円支払うことになるのです。
会社の設立日を4月2日とした場合、4月は1ヶ月未満とみなされ、その月は加算されません。
つまり、均等割として支払う税金は、トータルで55,000円ということになります。
均等割は、たとえ赤字になったとしても納めなくてはなりませんので、たかが1ヶ月と言わず、節税できることは、できるだけしておいたほうが得策です。

■消費税免税期間の活用を見直してみましょう

消費税免税期間は、会社設立日と決算月によって長さが異なります。
事業年度は都合の良い期間を設定することが一番ですが、節税を優先するなら、消費税免税期間が持つ最大のメリットを活かした考え方が必要になるのです。
免税事業者の条件を満たしている場合は、節税対策として、もう一度消費税免税期間の活用を見直してみてはいかがでしょうか。