会社設立後は労働基準監督署で手続きを!届け出の流れと必要な書類について

こんにちは。

Lib税理士事務所、代表の上田洋平です。

今回のお役立ちブログのテーマは、「会社設立後、労働基準監督署での手続き方法」についてご紹介します。

■労働基準監督署の手続きをしっかり理解しましょう

会社設立後、人を雇わず社長(代表取締役)1人で事業を始める場合、労働基準監督署に届け出る必要はありません。
ですが、1人でも雇う場合は、必要書類を速やかに提出することが義務づけられています。
書類の中には、提出期限が雇用開始日から10日以内というものもありますので、時間に余裕を持ち、準備することが望まれるのです。
ここでは、労働基準監督署に届け出る主な流れと必要な書類について、わかりやすく説明します。
どの書類が必要なのか、提出期限はいつなのか、などについて知りたいときの参考にしてください。

■労働基準監督署届出の主な流れ

労働基準監督署に必要な書類をチェックします。
労働基準監督署に届け出を済ませると、公共職業安定所(ハローワーク)にも必然的に届け出することになりますので、ハローワークでの必要書類についても調べておくと良いでしょう。
各書類の提出先は、所轄の労働基準監督署と公共職業安定所です。
必要な書類を確認したら、届け出先の労働基準監督署と公共職業安定所を調べましょう。
厚生労働省のホームページでは、全国の労働基準監督署と公共職業安定所の所在地を案内しています。
窓口の受付時間は、どちらも平日の8時30分から17時15分です。
加入の手続きは、総務省のホームページからオンライン申請(e-Govで電子申請)するか、労働基準監督署の窓口に持参する、又は書類を郵送するのいずれかの方法で行います。
申請書は窓口やダウンロードすることで入手可能です。
書類の記入は自分でもできますが、難しいと感じられる場合は、税理士など専門家に依頼することをおすすめします。
必要な書類を作成したら、労働基準監督署に届け出てください。
労働基準監督署での届け出が完了したら、今度は公共職業安定所に必要書類を提出します。
これで労災保険と雇用保険に関する手続きは完了となります。
労働基準監督署と公共職業安定所に提出するのは、労働保険(労災保険と雇用保険)です。
労働保険は、人を雇ったら加入が義務づけられていますので、加入手続を怠ることは、法に抵触する行為にあたります。

■労働基準監督署に提出する届け出の種類

労働基準監督署に提出するのは、労災保険に関する書類です。
労災保険は、仕事中・通勤途中で従業員がケガや病気になった場合、被災した従業員やその家族を金銭的な面で支援することを目的としています。
労災保険は、正社員だけでなく、パートやアルバイトも、対象になるのです。
会社は、労災保険料を全額負担しますが、負担した保険料は必要経費として認められます。
労働基準監督署に提出する届け出の種類には、「労働保険保険関係成立届」「労働保険概算保険料申告書」「就業届」「適用事業報告書」「時間外労働・休日労働に関する協定届」があります。

・労働保険保険関係成立届

労働保険保険関係成立届は、労働保険に加入する際に必要となる届けです。
事業の種類(一元適用事業と二元適用事業)によって、手続きの方法が異なります。
二元適用事業は、建設業と農林漁業で、それ以外は一元適用事業です。
労働保険保険関係成立届は、雇用がスタートした日(保険関係が成立した日)から、10日以内に届け出る必要があります。
登記事項証明書と賃貸借契約書(事務所を借りている場合)などを添付し、提出してください。
労働保険保険関係成立届について、社会保険労務士に相談すると、社会保険料の負担を軽減できる場合があります。
特にある程度の人数を雇う場合は、社会保険料の負担が大きくなることが予想されますので、1度相談してみると良いでしょう。

・労働保険概算保険料申告書

労働保険保険関係成立届を提出すると、その年に必要な労働保険料についていくらかかるか申告する必要があり、その申告が、労働保険概算保険料申告書です。
労働保険料は、通常雇用をスタートさせた日から、その事業年度の最終日までに、労働者に支払われた賃金に保険料率をかけて計算されます。
ですが、見込額は合理的な数字であれば問題なく、資金面から算出することも可能です。
見込労働保険料は、期限内(雇用をスタートさせた日から50日以内)に納付することが義務づけられています。
労働保険保険関係成立届を提出する手順ですが、まず労働基準監督署に届け出をします。
その後銀行で労働保険料を、前払いという形で支払うのです。

・就業届

常に10人以上の雇用者を抱えるという場合は、就業規則を作成し、届け出る必要があります。
ここで言う「雇用者」には、契約社員をはじめ、パートやアルバイトも含まれますので、注意が必要です。
就業規則の作成は、専門的知識を必要としますので、社会保険労務士など専門家に依頼しましょう。
従業員とトラブルになった場合、就業規則が重要な役割を果たしますので、しっかりと作り込んでおくことが望まれます。
就業届の提出期限は特に設定されていませんが、速やかに出したほうが良い書類です。

・適用事業報告書

従業員を雇い、労働基準法の適用事業になるということを、労働基準監督署に知らせるための書類になります。
提出期限は決められていませんが、通常労働保険関係成立書と一緒に提出します。

・時間外労働・休日労働に関する協定届

雇用者を、時間外や休日働かせる場合に必要となる届け出が、「時間外労働・休日労働に関する協定届」になります。
労働基準法第36条が、労働者の時間外・休日労働について定義していることから、時間外労働・休日労働に関する協定届は「36協定」とも呼ばれています。
時間外労働・休日労働に関する協定届の提出期限は、時間外・休日労働が始まる前日までです。
有効期限が1年と決められているため、毎年更新する必要があります。

■ハローワークに提出する届け出の種類

ハローワークでは、労働保険の一つ、雇用保険に関する書類を届け出ます。
雇用保険は、雇用者が失業し、次の仕事が見つかるまでの期間、経済的に生活を支援することを目的としています。
雇用保険料は労働保険料に分類され、会社の必要経費として計上できるのです。
ハローワークに提出する必要のある書類は、「雇用保険適用事業所設置届」と「雇用保険被保険者資格取得届」です。
書類はダウンロード又は所轄のハローワーク窓口で手に入ります。
窓口で記入し、その場で手続きを済ませたい場合は、添付書類と法人実印を持ち込むと良いでしょう。
手続きが済むと、「適用事業所台帳」などが発行されます。

・雇用保険適用事業所設置届

従業員として人を雇うと、雇用保険に加入する義務が発生しますが、雇用保険適用事業所設置届は、雇用保険が適用されたことをハローワークに伝えるための書類です。
雇用保険適用事業所設置届は、雇用をスタートさせた日から10日以内です。
提出には、「法人設立届」「登記事項証明書」「労働保険概算保険料申告書」「労働保険保険関係成立届」「事業所の賃貸借契約書」、事業所宛の郵便物などが添付書類として必要になります。

・雇用保険被保険者資格取得届

雇用保険に加入するにあたり、提出が必要になる書類です。
必要事項を記入したら、「登記簿謄本」「労働保険関係成立届(コピー)」「労働者名簿」などを添付して提出します。
雇用保険被保険者資格取得届の提出期限は、雇用をスタートさせた月の翌月10日です。

■後回しにせずしっかりと行いましょう

会社設立後労働基準監督署に書類を提出するのは、労働保険に加入するためです。
労働基準監督署に書類を提出したら、ハローワークにも届け出が必要になりますが、2ヶ所に提出することで、ようやく労働保険(労災保険と雇用保険)の加入手続きが完了します。
会社設立の手続きが済み、税務署に必要な書類を提出するだけでも、時間と労力を必要としますので、労働基準監督署への届け出は、後回しにしてしまいたくなります。
ですが、書類の中には短い期間で提出しなければならないものもあり、未提出の場合法的処罰を受ける可能性も出てくるのです。
できることは自分でして、後は専門家に任せるなど、柔軟に対応することで、スムーズに申請を済ませることができるでしょう。