Lib税理士事務所、代表の上田洋平です。
今回のお役立ちブログのテーマは、「税理士の役割と仕事」についてご紹介します。
■税金のことなら税理士へ
税理士は、税金の専門家として国家資格を持ち、税務相談をはじめ税務申告の手続きなどをサポートしています。
所得税や地方税、贈与税や相続税、事業税や消費税など、各種税法に定められた税金に関することならなんでも相談できる強い味方です。
一般個人からの所得税の申告や相続や贈与に関する対策や納税の相談をはじめ、法人の税金対策や決算、申告業務など、個人、法人を問わずサポートできます。
もっとも、税理士によって得意分野や力を入れている分野や対象顧客には違いがあります。
複数の中小企業と顧問契約を結んで、法人向けの税務支援を中心に行っているケース、個人向けの相続対策やコンサルティングに力を入れているケースのほか、特定の事業者の支援に焦点を当てて活動する税理士も増えてきました。
たとえば、病院など医療機関専門、歯科医やクリニックなど開業医にターゲットを置くケースや老人ホームなど介護施設運営者向けの税金対策や、不動産投資をする個人などを支援するケースもあります。
以下でより詳しく、税理士の業務内容や役割を見ていきましょう。
■税務相談とコンサルティング業務
地方自治体や金融機関などから依頼を受けて、無料の税務相談会などを実施するほか、有料にて個別に相談に応じています。
個人、法人を問わず、税金についてわからないことの確認や確定申告などのやり方などに関する問い合わせに対応するほか、節税対策や納税資金対策などのコンサルティングも行っています。
所得税や法人税、相続税などを節税するには、納税する時点では対策が難しいため、事前に対応することが欠かせません。
現在の収支状況や将来の収支見込み、家族構成や事業の状態、資産状況など幅広い情報をもとに適切な節税対策を提案し、実行のアドバイスやサポートも行っています。
必要に応じて弁護士や司法書士などの専門家を紹介することや連携しながら節税対策の実行支援を行ってくれるものです。
これに対して納税資金対策は、納税が必要になった税金をどのように支払うかの事前対策や納税時点でのアドバイスを意味します。
税金は現金払いが基本ですが、多額の納税が必要になっても、現金がなく支払いに窮する方も少なくありません。
ですが、税金の支払いが国民の義務ですから、災害など特別な事態でも発生しない限り、待ってはくれません。
納税すべき時期に間に合わなければ、延滞税などがどんどん積み重なっていきます。
納税対策はそうした事態が起こらないよう、いかに現金を準備するかや一定の要件を満たすことで認められる物納などが可能かを資産状況などから検討し、物納に向けた準備や手続きなどをアドバイスしてくれるものです。
■記帳業務や決算業務
事業を行っている企業やお店、個人事業主などは日々の売上や仕入れを管理し、発生した売上額や費用などを帳簿に記録し、決算を行って税務申告をしなくてはなりません。
そのために必要な記帳を代行することや複雑で面倒な決算を税理士や税理士事務所で代行してくれます。
税理士と顧問契約を結んだうえで、その一環として記帳や決算を担当してもらうケースのほか、顧問契約は結ばず、記帳サービスや決算の依頼をするといった方法を採っているケースもあります。
顧問契約を締結している場合、月に1回程度、税理士が来訪して書類のチェックをしてくれたり、税法違反などがないかを確認してくれたり、困ったことやわからない点の相談などに応じてくれるのがメリットです。
来訪のほか、顧問契約を締結すると電話やメールによる相談は何回でもできるといった契約を提供している税理士も増えており、税務コンプライアンスを守りながら、有効な節税対策や決算対策がしやすくなります。
この点、日々の記帳は意外に面倒で、業務が忙しいほど後回しにしがちです。
記帳サービスはその税理士事務所の方針にもよりますが、たとえば、1ヶ月ごとに請求書や領収書などをまとめて税理士に渡して帳簿を作成してもらい毎月の決算、四半期決算、年度末決算と申告書の作成までトータルサポートしてもらうといったプランが人気になっています。
なお、税理士は株式会社の役員として取締役と共同して、計算関係書類を作成する会計参与になることが可能です。
中小規模の株式会社における計算関係書類の記載の正確さを担保し、信頼を高めるため、会計参与の有資格者として会社法に税理士が明記されています。
■税務書類の作成や申請業務
一般個人の所得税の確定申告や相続税、贈与税などの申告をはじめ、個人事業主の確定申告や消費税の納税、企業の法人事業税や消費税などの申告などは、基本は各自が申告書を作成して税務署に提出し、納税を行う仕組みとなっています。
もっとも、複雑な計算を求められることや書類の書き方が難しいと感じる方も多いほか、頻繁に税法や制度の改正が行われることや時限措置などが講じられるため、最新の法令や方法をキャッチアップしていくのも大変です。
そのため、複雑な書類作成を税理士に任せる方や時間がないと税理士にお任せする方も少なくありません。
確定申告書や相続税申告書、法人税の申告書類をはじめ、減税などの特例を受けるために事前に提出すべき書類など、幅広い書類の作成と提出を代行してくれます。
他人を代理して税務書類を作成し、報酬を得られるのは税理士だけに認められた権限であり、国家資格を持たない人が行うと税理士法違反になるので注意しなくてはなりません。
近年はスマホやパソコンで書類を作成し、マイナンバーカードを使ってすぐに確定申告ができる仕組みも導入されています。
一方、個人事業主や中小企業など、少し前に導入されたe-Taxを利用したい場合、税理士に依頼すればe-Taxの代理送信が可能です。
e-Taxに必要なカードリーダーの用意や申告者の電子証明書が不要となるのが税理士に依頼するメリットです。
■税務代理によるサポート
税金問題というと、ドラマに出てくるマルサのように税務調査に入られ、次々に財産を差し押さえる紙が貼られていくケースを思い浮かべる方もいるかもしれません。
こうしたときに何もできずに見ているだけなのかというと、実は税理士のサポートを受けることが可能です。
税理士は調査の対象者の代理人として税務調査の立会いを行うことや税務署の更正や決定に不服がある場合の申し立てを行うこともできるのです。
税務訴訟に発展した場合には、訴訟代理人である弁護士とともに補佐人という立場で裁判所に出頭し、納税者の正当な権利や利益の救済のための陳述を行うこともあります。
■社会貢献業務
税理士の中には税理士記念日(2月23日)」や税を考える週間(11月などに各地で無料税務相談を行う場合や学校などに出向いて子どもたちへの租税教育を行っているケースもあります。
高齢化社会に対応するため、各地域の税理士会に成年後見支援センターを設置し、成年後見制度を支える役割を担っているケースも増えてきました。
国税不服審判所においては国税審判官として司法支援を担うほか、家庭裁判所では民事・家事調停員として紛争解決を支援しています。
地方公共団体においては監査委員として行政支援を行うことや法テラス(日本司法支援センター)に税務の専門家として協力している税理士も少なくありません。
また、税制や税務行政の改善に寄与するために、税理士団体などでは国に対して税制改正建議書を提出する活動も行っています。