こんにちは。
Lib税理士事務所、代表の上田洋平です。
今回のお役立ちブログのテーマは、「建設業許可とは?必要となる理由や申請の流れについて」についてご紹介します。
■建設業では無視できない建設業許可
建設業を始めるうえで、無視できないのが建設業許可です。
建設業許可についてよくわからないと言われるのは、許可が必要な工事とそうでない工事があったり、許可の区分が複数あったりすることが理由ではないでしょうか。
ここでは建設業許可や、許可が必要な理由、そして主な申請の流れについて、わかりやすく解説します。
■建設業許可について
建設業許可とは簡単に言うと、建設業を始める際に必要となる許可のことです。
国土交通省は建設業法第3条に基づき、工事の種類にかかわらず、建設業許可を得る必要があるとしています。
ただしこれには例外があり、「軽微な建設工事」については、許可を必要としません。
・軽微な建設工事とは
国土交通省は、「軽微な建設工事」について、次のように定義しています。
[1]建築一式工事については、工事1件の請負代金の額が1,500万円未満の工事又は延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事「木造」…建築基準法第2条第5号に定める主要構造部が木造であるもの
「住宅」…住宅、共同住宅及び店舗等との併用住宅で、延べ面積が2分の1以上を居住の用に供するもの
[2]建築一式工事以外の建設工事については、工事1件の請負代金の額が500万円未満の工事」
(引用:国土交通省「建設業の許可とは」:https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000080.html)
ここで言う「建築一式工事」とは、工事業種の区分の一つで、建築一式工事には、「建築一式」と「土木一式」の2種類あります。
建築一式工事を含む工事業種は全部で29種類あり、建築一式工事に含まれないものは「専門工事」に分類されています。
27の専門工事は以下の通りです。
「大工工事」「左官工事」「とび・土木・コンクリート工事」「電気工事」「石工事」「管工事」「タイル・れんが・ブロック工事」「鋼構造物工事」「屋根工事」「板金工事」「ガラス工事」「塗装工事」「防水工事」「内装仕上工事」「機械器具設置工事」「鉄筋工事」「舗装工事」「しゅんせつ工事」「消防施設工事」「造園工事」「清掃施設工事」「解体工事」「熱絶縁工事」「電気通信工事」「さく井工事」「建具工事」「水道施設工事」
建築一式工事と専門工事とでは、軽微な建設工事の基準が異なりますので、注意が必要です。
国土交通省が規定している「請負代金の額」には、消費税や地方消費税、工事に必要な材料費が含まれます。
もし、軽微な建設工事以外の工事を、建設業許可を得ずに請け負うと、建築業違反に抵触することになるのです。
・建設業許可の種類
建築業許可にはいくつか種類があり、それぞれ該当する方法で申請する必要があります。
大臣許可と知事許可
建設業許可の区分には、「大臣許可」と「知事許可」とがあり、営業所のある場所によって、使い分けられます。
大臣許可とは、2つ以上の都道府県にまたがって営業所がある場合に必要となる許可です。
一つの都道府県に営業所がある場合は、知事許可を得ます。
たとえば、東京都内のみに複数の営業所を構えているとすると、建設業許可は知事許可になるのです。
特定建設業許可と一般建設業許可
「特定建設業許可」とは、元請けとして受注し、さらに4,000万円以上の工事を下請けに発注する工事に必要な許可です。
建築一式工事で下請けに発注する場合、6,000万円以上の発注に対して許可が必要になります。
一般建築業許可は、特定建設業許可以外に該当する工事が対象です。
業種別許可制
たとえば「大工工事」なら大工工事の許可という風に、業種別許可は、工事業種ごとに設定されている許可のことになります。
業種別許可は複数取得することや新たに取得して追加することが可能です。
・建設業許可には期限がある
建設業の許可は、一度取得したら永遠に使えるというわけではなく、5年間という有効期限があります。
そのため有効期限が切れる前に許可を更新する必要があり、それを怠ると失効してしまうのです。
建設業許可の更新は、有効期限が満期を迎える30日前までに行います。
■なぜ建設業許可が必要になるのか
建設業を始めるために、なぜ許可が必要になるのでしょうか。
29種類もの工事業種があるように、建設業と一口に言っても数多くの種類があり、それぞれ特殊性があります。
工事を行う場所や内容、規模にもばらつきがあり、工事をする企業も大手企業から中小企業までさまざまです。
こうした建設業の特殊性と現状を踏まえ、建築技術の確保や発注者の保護が、許可が必要な主な理由になります。
建設業許可を得るためには、専任技術者が在籍しているなど、条件が細かく規定されているのです。
そして、許可を得ることで基準を満たした下請けに工事を発注することで、安全基準を満たした建物の建設が可能になります。
建築業許可は、特定の工事を安全に行うことを保証する、役割を果たしているといえるでしょう。
■建設業許可を申請する主な流れ
建築業許可の申請を決めたら、どの建設業許可が必要になるか、確認することから始めましょう。
建設業許可にはいくつか種類があり、それぞれ条件が設定されています。
条件と照らし合わせながら、どの許可が必要になるかの確認が必要です。
申請する許可を決めたら、必要な書類の準備に取りかかります。
申請に必要な書類は、国土交通省や各都道府県のホームページなどからダウンロード可能です。
申請時に必要な書類は、申請する許可の種類や申請先によって異なりますので、よく確認しておきましょう。
書類の記入方法は、手引書などを参考にしながら進めます。
必要に応じて添付資料を作成することもあります。
どの書類が必要になるか、事前によく確認してから準備しましょう。
書類を提出する前に、予備審査が行われます。
予備審査では、正しい申請書類を使用しているかどうか、書類に不備はないかどうかなど、基本的な項目についてチェックが行われるのです。
予備審査で問題が発生しなければ、申請書の提出に入ります。
・申請にかかる時間と費用の目安
建築業許可を申請してから完了するまで、1ヶ月~3ヶ月程度かかります。
何か問題が発生した場合、もっと時間がかかることもあるのです。
大臣許可又は知事許可を申請する際、費用がかかります。
大臣許可は15万円、知事許可は9万円となり、通常は収入印紙で納入します。
納入方法は異なる場合もありますので、事前に各都道府県に問い合わせると良いでしょう。
・建設業許可後に得られるもの
建設業許可が出た後、証明書や通知書などが発行されます。
「建設業許可証明書」は、建設業許可を得ているという証明になります。
工事を受注する際や公共工事に入札する際必要になります。
「建設業通知書」は、新規で建設業許可を申請することや許可を更新した際に、許可がおりたということを通知するために発行される通知書です。
建設業通知書は、再発行されない書類になりますので、失くさないよう大切に保管する必要があります。
建設業許可を得た場合、その旨を公に周知させることが義務づけられています。
営業所などに「建設業の許可票」と記載された金色の看板をよく見かけますが、それが「建設業許可票」です。
建設業許可票は、各事務所や工事業者が作成するため、必ずしも金看板である必要はなく、銀色や白色でも問題ありません。
■許可が必要な理由や流れを理解しましょう
建設業許可は、工事を行ううえで必要な許可ということがわかりました。
許可には業種別や営業所別などによって異なる種類があり、工事を行うにはそれぞれ必要な許可を取得する必要があります。
申請する際は、許可が必要な理由や申請の流れついて理解し、間違いのないように手続きを進めることが望まれます。