初めての年末調整ってどうやるの?

こんにちは。

Lib税理士事務所、代表の上田洋平です。

今回のお役立ちブログのテーマは、「初めての年末調整」についてご紹介します。

■年末調整のやり方を解説

これまでどこかの会社で働いていた方は、言われたものを提出して後は勤務先で年末調整を行ってもらっていたのではないでしょうか。
実際自分がオーナーとなったときは、従業員の分の年末調整をする立場になります。
特に初めてのオーナーでほかにもやることが多数あり、大変な思いをしているでしょう。
これから初めて年末調整を行う方にも、どのように進めていくのかわかりやすく説明していきます。
その時期が来て慌ててやろうとしても、ほかの業務もあり大変な思いをしてしまいます。
今のうちから何を準備してどのような手順で進んでいくのか把握し、時期が来たらスムーズに年末調整できるようにしましょう。

■年末調整とはいったいなんなのか?

年末調整では税金を支払うための調査を行い、所得税の過不足を計算し正しい額を出し源泉所得税を納付します。
会社が働いている従業員の所得の申告を代行して行い、税務署へ申告します。
本来は従業員一人ひとりが行う作業ではありますが、これを実際に皆が個別に行ってしまうと税務署では対応しきれません。
ですのでオーナーや経営者の方が対象となる従業員分すべてを行い、代表として税務署へ提出するのです。
所得は1月から12月の1年間をもとに算出するですが、年度末で締めている会社も多いので予想しながら毎月従業員のお給料から天引きします。
すると予想をしている分、実際12月のときに誤差が出てきてしまうのです。
本来支払うべき税金よりも多く徴収している場合も多いので、年末調整をして正しい金額の税金を算出し税務署へ支払います。
2016年からはマイナンバーが登場し、年末調整でも必要になるケースが出ています。
代表的なものとして、配偶者特別控除申告書、保険料控除申告書などがありますので、必要に応じて従業員からマイナンバーの提出もお願いしなければなりません。
マイナンバーに関しては重要な情報が記載されていますので、厳重に管理する必要があります。

■年末調整のおおまかな流れとは

ではどのくらいの時期に、なんの手続きをしていけば良いのか紹介していきます。
その月によってやることや申告しなければいけないことは変わってきますので、月ごとに年末調整のためにしなければならないことを把握しておきましょう。
まず11月に入ったら従業員に、保険類などの控除の証明になる原本や扶養控除等申告書、保険料控除申告書・配偶者特別控除申告書を提出してもらいます。
特に多数の保険に入っている従業員は、年末調整のときに必要になる書類を探す必要も出てくるかもしれません。
時間が必要な従業員もいるかもしれないので、11月に入ったらすぐに声を掛けてあげましょう。
12月に入ってからは、本格的に従業員一人ひとりの書類をチェックしていきます。
足りない証明書があれば提出してもらい、書き間違いがないかを見ていきます。
その後給与計算と年末調整の計算で、還付金がいくらになるかを割り出してみましょう。
だいたいの方が還付金となる可能性がありますが、足りずに従業員のお給料から徴収する場合も出てきます。
1月はいよいよ実際に納付や書類を提出するようになり、まず10日までに源泉所得税を納付して、31日までには法定調書合計表と添付書類を税務署に提出し、給与支払報告書を従業員の住んでいる市町村に提出を行います。
年末はお店によって忙しい時期でもあり、さらに年末調整を行う必要があるので上手に時間確保を行いましょう。

■具体的な年末調整のやり方

・社員の所得控除がいくらか確認

年末調整を行うにはまず従業員の所得計算が必要になるのですが、今まで自分で従業員のお給料を払っているはずですので、どのくらいの所得かどうかは簡単に把握できるでしょう。
所得税には所得控除があるため、従業員によって申告できる控除は変わってきます。
自分たちもどこかの会社で雇われていたときに記入していた、「扶養控除等申告書」と「保険料控除申告書・配偶者特別控除申告書」があります。

・扶養控除等申告書

こちらは用紙の右上に○に扶という文字が書かれていて、「まるふ」とも呼ばれている書類になります。
配偶者控除や扶養控除に必要な書類で、従業員の家族に配偶者や子どもがいて自分のお給料で面倒を見なければいけないような場合、生活も大変だろうということで控除してもらえます。
所得税の負担が少なくなる制度ですので、必ず渡して提出してもらう用紙です。
万が一そのような家族がいなくても、名前だけ書いてもらって提出してもらいましょう。
後から書いてもらったのかわからなくならないですし、提出漏れを防げます。

・保険料控除申告書・配偶者特別控除申告書

こちらも○の中に保という文字があるので、「まるほ」と呼ばれている書類です。
一定の生命保険料や介護医療を支払うと、一定の金額の所得が控除され所得税の負担が少なくなる生命保険料控除や自身や配偶者、そのほかの親族が支払うべき社会保険料を支払った所得控除の社会保険料控除などがあります。
さらに配偶者控除と比べると控除額は小さくなってしまうのですが、配偶者の所得が一定以下の場合に所得控除が受けられる制度の、配偶者特別控除もあります。
保険などは独身の方も入っている方が多いので、扶養する家族がいるいないに関係なく控除対象となる方が多い書類です。
こちらも申告漏れになり従業員に迷惑をかけないように、特に申告がない人でも名前だけは書いてもらって提出してもらいましょう。

・納税額の過不足があるかをどのように計算していくか

従業員に書いてもらった用紙を見ながら、給与の支払いなどから社会保険料と源泉徴収額を記録した、給与所得に関する源泉徴収簿を活用し行っていきます。
そして計算された税務と、毎月天引きしていた源泉徴収の差額を、12月か1月の給与支給時に、従業員へ還付か追加で天引きし調整します。
その後税務署へ提出必要な、源泉徴収票を作成していきましょう。

・過不足納税額の清算や従業員への還付や天引き

納税額の過不足分を生産し、年末調整をした自分の所得税徴収高計算書(納付書)に記載し、徴収額を税務署へ納付します。
ほとんどの場合多く従業員から税を徴収している場合が多いので、12月や1月に従業員のお給料も増えたように見えて喜ばれるケースが多いです。
給与の計算は間違いがあり、時間もかかり大変なので、普段から会計ソフトを使うと良いでしょう。
書類の提出は1月まで続き、休む時間がありません。
源泉徴収票や支払調書を税務署に提出し、給与支払報告書は従業員の居住している市町村へ提出します。

■年末調整が必要なのは正社員だけじゃない!

正社員だけでなく、アルバイトやパート従業員も年末調整が必要になってきます。
ただ対象にならない人というのも存在し、その場合はオーナーが年末調整を行う必要がないので手間が省けます。
1年間の給与収入が2,000万円以上、2ヶ所以上から収入がある、日雇いのケースなどです。
特に2ヶ所以上から収入があるかなどはオーナーにはわからない点もありますので、しっかりと従業員から聞いて把握しておくようにしましょう。
ただ死亡によって退職した場合など、何点か雇用側が所得税を確定しなければならない場合もあります。

■計画通りに進めていきましょう

従業員数も多いと、年末調整を行うだめでも時間を取ります。
計画的にどのようなスケジュールで年末調整を行うのか決め、計画通りに進めていきましょう。
ある程度専門的な知識が必要になりますので、お金を払っても税理士に委託すると効率良く年末調整が行えます。