こんにちは。
Lib税理士事務所、代表の上田洋平です。
今回のお役立ちブログのテーマは、「法人設立後、税務署にて必要な手続き」についてご紹介します。
■税務署の手続きで損することも
会社設立後も、各種届け出が必要になりますが、税務署での手続きもその一つです。
税務署に提出する書類は、税務に関するものがほとんどで、出しそびれると、税金の面で損をする可能性が出てきます。
ここでは会社設立後に必要な手続きと、提出が必要な書類についてわかりやすく解説します。
■会社設立後税務署での手続きについて
会社の設立は、法務局で登記申請されることで完了します。
ですが、会社の運営にはさまざまな税金がかかるため、会社設立後に税務署で手続きをする必要が出てくるのです。
税務署に提出する書類は複数あり、中には会社設立から1ヶ月以内に届け出が必要なものもあります。
税務署に提出が必要な書類は、会社を設立してから揃えるのではなく、時間に余裕を持って準備することをおすすめします。
特に自分で書類を作成する場合は、時間がかかることが考えられますので、会社設立前からどんな書類が必要になるか調べ、計画を立てて作業を進めるのが賢明です。
書類を提出するのは、会社の所在地を管轄する税務署になります。
該当する税務署については、国税庁のサイトで検索できます。
■提出が必須となる書類
会社設立後税務署に提出する書類の中で、必須の部類に入るものはいくつかあります。
一般的に必須と言われている税金関係の書類は、「法人設立届出書」「青色申告の承認申請書」「源泉所得税の納金の特例の承認に関する申請書」です。
・法人設立届出書
法人設立届出書は、会社を設立したことを税務署に知らせる書類で、税務署に必ず提出する必要のある書類に分類されるのです。
申請書は国税庁のサイトからダウンロードできます。
書類に記入するのは、事業目的や代表者の個人情報(氏名や住所など)、事業開始年月日などの項目になります。
法人設立届出書とともに必要となる添付書類は、「登記事項証明書」「定款(コピー)」「設立時貸借対照表」「株主名簿(合同会社の場合は社員名簿)」などです。
設立時貸借対照表の書き方は特別決められておらず、書式は任意となります。
法人設立届出書を作成したら、「添付書類等」の項目に書かれている通りに書類を並べ、最後に法人設立届出書を一番上にします。
法人設立届出書の提出期限は、会社設立から2ヶ月以内になりますので、忘れないようにしましょう。
・青色申告の承認申請書
青色申告というと、個人事業主が所得を申告する際に必要になる書類、というイメージがありますが、法人も利用できる制度です。
青色申告を利用すると、法人税額控除が受けられたり、赤字の繰り越しが認められたりするなど、税務上のメリットがあります。
青色申告承認申請書は、税務署や国税庁のホームページでダウンロードできます。
書類には、法人名や代表者氏名などの基本情報のほか、青色申告を開始する年度や帳簿の形態などの記入が必要です。
申告書は、「買掛帳」や「売掛帳」、「現金出納帳」など複数の帳簿と一緒に提出します。
青色申告の承認申請書の提出は、会社を設立してから3ヶ月以内、又は事業初年度が終了する日となっています。
提出期限を過ぎてもペナルティが課されることはありませんが、1期目は青色申告制度が適用されなくなりますので、注意が必要です。
・源泉所得税の納金の特例の承認に関する申請書
「源泉所得税の納金の特例の承認に関する申請書」は、源泉徴収について特例を受けるために必要な書類になります。
通常源泉徴収税は、翌月の10日までに納めることが義務づけられているのです。
ですが、従業員が10人以下の企業は、毎月源泉徴収を納めることなく、半年に1回にまとめて納付することが認められています。
その特例を受けるために申請するのが、「源泉所得税の納金の特例の承認に関する申請書」です。
申請するには、「従業員10人以下」という条件が付きますが、該当する場合は、申請するのが得策といえます。
「源泉所得税の納金の特例の承認に関する申請書」はいつでも提出可能で、税務署では随時受け付けているのです。
申請書は、国税庁のホームページからダウンロードできます。
・給与支払事務所等の開設届出書
社長を含む役員や従業員に、給料を支払う場合に必要となる届け出です。
書類には、「給与支払を開始する年月日」や「届け出の内容及び理由」など、給与の支払いに関する情報を記入する項目がありますので、支払予定日など、事前に明確にしておくと良いでしょう。
提出の際添付資料が求められることもありますので(定款のコピーなど)、その場合は、申請書のほかに添付書類を揃えてから提出することになります。
給与支払事務所等の開設届出書の届け出は、給与支払を開始してから1ヶ月以内です。
会社設立時に届け出る場合は、給与支払日が会社設立日となります。
■任意で税務署に提出する書類
税務署に提出する書類は、必須書類だけではありません。
中には任意で提出するものもありますので、必要かどうか、提出しておいたほうが良いかどうか、慎重に検討しながら決めると良いでしょう。
・個人事業の開廃業届出書
個人事業の開廃業届出書は、開業・廃業したことを税務署に知らせることを目的とした書類です。
必須ではありませんが、個人事業主として開業していて、新たに会社を設立した場合は、廃業届が必要になるのです
個人事業の開廃業届出書の書類は、税務署の窓口や国税庁のホームページからダウンロードすることで入手できます。
記入する際マイナンバーなど、必要な書類を準備しておくと、記入が楽になります。
・棚卸資産の評価方法の届出書
棚卸資産の評価方法の届出書とは、棚卸資産の評価方法について、税務署に伝えるための書類になります。
棚卸資産の評価方法は、売上原価を算定するために実施されますが、「原価法」や「低価法」など、評価方法は一つではありません。
棚卸資産の評価方法の届出書は、任意の書類になりますが、提出しないと、「最終仕入原価法」で評価しているとみなされます。
提出する場合は、1期目の確定申告の提出期限日までに出す必要があります。
・減価償却資産の償却方法の届出書
減価償却資産の償却方法には、「定率法」と「定額法」の2種類ありますが、減価償却資産の償却方法の届出書は、どちらの方法で減価償却しているのか、税務署に知らせるための書類です。
棚卸資産の評価方法の届出書と同じく、提出は義務づけられていませんが、未提出の場合、法定償却方法で減価償却されることになります。
提出期限は、1期目の確定申告の提出期限日と同じです。
■税務署に届け出の際注意すること
税務署に提出する書類は、数多くあります。
どの書類を提出したら良いか、正確に知るには、税務署や国税庁のホームページから情報を得るほか、国税局電話相談センターを利用したり、税理士など専門家に相談したりすることが賢明です。
税務署に届ける書類を作成し、添付書類を揃えたら、記入漏れをチェックし、添付書類に不備はないかどうか、もう一度確認しましょう。
一つでも欠けていると、受理してもらえず、もう一度出直す必要があるなど手間がかかります。
届出書と添付書類は、すべてコピーをとり、税務署に提出するものと控えで取っておくもの合計2部用意しましょう。
税務署に2部提出すると、控えの方に、日付印を押して返してくれます。
控えを持っておくことで、税務署に必要な書類を提出していることを証明できます。
■必ず手続きを済ませましょう
会社設立後は必ず税務署に必要な届け出をし、手続きを済ませておくことが大切です。
必須書類や任意の書類など、税務に関する書類は複数ありますが、会社経営でメリットになると考えられるものは、できるだけ提出することが望まれます。
書類の中には提出期限が定められているものもありますので、書類の作成は、計画的に進めることをおすすめします。