起業してからやるべき5つのこと
起業の王道(資金調達プラン)
起業したての頃は、資金をいくら準備していたとしてもそれで十分ということはありません。
私も起業したての頃は、損益分岐点の売上高を超えるまでは通帳残高が減り続ける恐怖を味わいました。この経験があるところが、他の税理士との大きな違いです笑(他の税理士はお客さんを持ったまま独立するのが一般的なので)
そのため、起業支援の専門家としては、如何にして起業直後の資金不足を解消するかという点の問題解決に頭を悩ませ、考え続けてきました。
そして、現段階でベストと言える答えにたどり着きました。それが以下のスキームです。
- 会社設立
- 沖縄振興開発金融公庫の創業融資
- 各自治体創業融資
- キャリアアップ助成金
- 小規模事業者持続化補助金
※これらを実現させるために必要な税務・社会保険・労務・給与計算事務の適切な運用
王道の5ステップ
ステップ1
まず最初のステップでは、会社を設立します。理由は、ステップ2の沖縄振興開発金融公庫からの融資を好条件で引き出すためです。沖縄振興開発金融公庫の融資は、無担保・無保証融資という特徴を持っています。この無担保・無保証融資のメリットを最大限引き出すためには、個人事業での融資ではもったいない。したがって法人を設立してから事業をスタートします。
ステップ2
2ステップ目の沖縄振興開発金融公庫からの融資は、1000万円以上調達することを目標にします。無担保・無保証という安心な資金なので、なるべく多めに調達をしておきましょう。よくある失敗例が、少なく借りすぎてしまいすぐに資金ショートしてしまうというケース。そして、再度融資に挑戦するも業績が悪いので融資をお断りというパターンです。事業開始直後で実績がない状態が一番のチャンスです。臆せず大胆に借りましょう。
ステップ3
3ステップ目は、各自治体創業融資を利用した融資申請です。ここで調達する資金は、少額でも構いません。もちろん、沖縄振興開発金融公庫で減額されてしまった場合などには、その分を埋め合わせる目的でも構いません。ここで融資を受ける目的は、資金を増やすということよりも、次のステップ4の東京都の創業助成金を申請するための資格を取得することです。沖縄県の創業助成金を申請するためには、18個の申請条件のうちどれか1つを満たす必要があります。ただここに掲げられているものは難易度が高いものばかりです。
その中で一番簡単なのが、各自治体創業融資を利用した融資を受けているものという条件です。(もう一つ、特定創業支援事業の認定を受けるという方法もありますが、これは会社設立前に時間を作れる方のみが該当するものです。おまけ参照)簡単にリスクなく東京都の創業助成金の申請資格を得るために、各自治体創業融資を利用した融資を受けましょう。
ステップ4
4ステップ目は、創業助成金の獲得です。これは、沖縄県から使った経費の2/3(最大300万円)をもらえるという助成金です。450万円を使えば満額の300万円がもらえるので、家賃、人件費の1年分という計算で十分満額をもらうことができます。(満額をもらうために無理してお金を使う必要がないということ)創業助成金は年2回募集があり、開業してから5年間は申請資格があるので、全部で最高10回申込むことができます。毎回申し込めばどこか1回ぐらいは審査に通るはずですので、是非取り組みましょう。
ステップ5
5ステップ目は、キャリアアップ助成金の申請です。沖縄振興開発金融公庫や地域金融機関からの借入で資金は潤沢にあり、さらに沖縄県の創業助成金を獲得できれば、なお資金的余裕が生まれますので、先行投資が可能になります。一人分の人件費程度は助成金が補填してくれるような計算ですので、積極的に雇用という投資をしていくべきです。
私が考える中で起業したてで一番大切なものは、時間です。いかに早く損益分岐点を超える売上高まで事業を成長させるかが重要です。その時間を買うという意味でも事業を手伝ってくれる人を雇用することは大切です。5ステップ目のキャリアアップ助成金は、非正規従業員を正規従業員へと雇用契約の形態を変更することで、一人当たり57万円支給されるという助成金です。2ヶ月分の給料の補填ぐらいになるでしょう。2人目からも同様に支給されるので、事業を拡大していく際には必ず活用したい助成金です。
ステップ6
6ステップ目は、小規模事業者持続化補助金の活用です。
小規模事業者持続化補助金は、広告宣伝活動に関しての費用を2/3(最大50万円)補填してくれるという補助金です。広告宣伝費を75万円使うことで満額の50万円が支給されるという計算です。損益分岐点売上高を超えるためには、広告宣伝費は不可欠です。ホームページを作り、リスティング広告を掲載したり、チラシや看板を設置するという広告宣伝活動を行っただけでも75万円はすぐに出費として出て行ってしまいますので、積極的に補助金を活用して出費を抑えていきたいところです。
また小規模事業者持続化補助金は合格率がかなり高い補助金としても有名です。令和2年度は80%ぐらいの合格率だったこともあります。ローリスク・ハイリターンな補助金と言えるでしょう。
ステップ7
7ステップ目は、沖縄県の各種雇用関係の助成金の申請です。働き方改革宣言奨励金(30万円)や女性の活躍推進奨励金(60万円)、ボランティア休暇奨励金(20万円)等様々な助成金があります。これらは、雇用保険に加入している従業員が2名以上おり、それが半年以上継続していると申し込めるという要件になっているものが、ほとんどです。雇用保険加入後、半年経過してからは、このような金額はそんなに大きくないがハードルが低く確実に獲得できるという助成金が数多く出ます。この辺りを確実に拾っていくようにしましょう。
資金が不足してくると、どうしても本業に集中できなくなります。ですので絶対に資金調達に悩んではいけません。ここまでの7ステップを確実に実行していただければ、資金的にできるものは全て遣り尽くしたという形になります。凡そ2年間は事業が軌道に乗らなくても資金的には回っていくでしょう。そこまでにしっかりと損益分岐点を超える売上高を確保できるように、事業に集中して行っていただきたいです。
〜まとめ〜 王道を歩むために押さえておくべきこと
資金調達をするためには、必ず抑えていかないといけないことが3つあります。
- 適正であり、資金調達を意識した決算書・税務申告書の作成及び月次での試算表の作成
- 適正な社会保険、労働保険手続き給与計算
- 助成金獲得を意識した就業規則、各種規則の整備、採用計画
上記を必ず正確に行わない限り7ステップの資金調達は実現できません。そしてこれを実現させるためには、公認会計士、税理士、社会保険労務士の全ての資格を持っている人が組織として関与しない限り実現は難しいでしょう。
おまけ
特定創業支援事業
あなたの起業プランを、特定創業支援事業として各自治体に認定してもらうことができます。この認定を受けるといくつかの特典があります。主要なものは、法人設立時の登録免許税が半減(株式会社7万5千円OFF、合同会社3万円OFF)され、東京都の創業助成金の申請資格が得られる、といったものです。
認定を受けるためには、各自治体が主催する創業塾を卒業することや、多摩信用金庫の創業担当者と一緒に事業計画書を作り上げるといったことが、要件になります。
創業塾では、創業に必要な4つの知識(経営・財務・販路開拓・人財育成)を得ることができるので、認定を取るということ以外にも知識の習得というメリットや創業を志す仲間との出会いといったメリットがあるので、創業志望がある方は一度参加されても良いかもしれません。
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