キャリアアップ助成金の受給要件や支給の流れ

こんにちは。

Lib税理士事務所、代表の上田洋平です。

今回のお役立ちブログのテーマは、「キャリアアップ助成金の受給要件や支給の流れ」についてご紹介します。

■非正規雇用の労働者のキャリアアップを目指す

現在、さまざまな助成金制度が設けられています。
その中でもキャリアアップ助成金は、非正規雇用の労働者のキャリアアップを目指し厚生労働省が実施している制度です。
短時間労働者や派遣労働者といった非正規雇用の労働者の仕事に対する意欲を高めるなど、ポジティブな目的で賢く助成金を活用することができます。
誰もが一度は見聞きしたことがある日本を代表する大手企業でも導入しており、社員一人ひとりのモチベーションアップにつながっています。
キャリアアップ助成金は、国が設置した助成金制度であり、福利厚生の向上の一環として活用されているのも特徴です。
正しく、そして上手に取り入れていくことで社員の仕事に対するモチベーションアップにつながるのはもちろんのこと、企業の業績アップも期待できます。
キャリアアップ助成金の受給金額は、申請したそれぞれの企業の規模によって違いがありますが、大手企業では1年間に約5,000万円もの助成金収入の項目が決済に記載されているケースもあります。
社員のキャリアアップやスキルアップを目指し人材育成に力を入れることで高い利益率を実現できるのもキャリアアップ助成金のメリットといえるでしょう。

■対象範囲と用意されているコース

キャリアアップ助成金の対象となるのは、あくまで非正規雇用の労働者です。
たとえば、短時間労働者や派遣労働者のほかにもパート、アルバイトなどもあたります。
非正規雇用の従業員のキャリアアップ促進を目指し、その取り組みを行う事業主に国から助成金が支払われる仕組みです。
現在、厚生労働省が管轄しており、7つのコースが用意されています。
キャリアアップ助成金を支給することで非正規雇用の労働者を減らし、日本の経済を豊かにするという目的も含まれています。
従来は、正社員化コースや人材育成コース、処遇改善コースの3つがあり、それぞれ企業の目的に応じて選択することが可能となっていました。
現在でも続く正社員化コースは、派遣社員やアルバイト、パートなどの非正規雇用の労働者を正社員化することを目指す事業主に助成されます。
令和2年度は、従来の正社員化コースのほかに賃金規定等改定コースや賃金規定等共通化コース、健康診断制度コース、選択的適用拡大導入時処遇改善コースなどが増え、7つのコースが用意されています。
コースだけでなく内容においても改訂されることが多いので、制度を活用したいと思っている事業主は定期的に適用要件などを確認することが必要です。

■申請できる条件

キャリアアップ助成金を受給するには、いくつかの条件があるのでチェックしてみましょう。
まず雇用保険適用事業所の事業主でなければいけません。
さらにキャリアアップ管理者を置くといった条件のほかにもキャリアアップ計画を作成すること、キャリアアップ期間中に実際にキャリアアップに取り組むといった規定も設けられています。
もちろん、大手の企業のみならず中小企業の事業主も助成金を申請することが可能です。
大手企業のほうが高額な助成金を受け取ることができるのではないかと思う方も多いかもしれませんが、実は中小企業の事業主のほうが、より多くの助成金が支給されています。
中小企業の事業主が申請する場合、飲食店を含む小売業は、資本金が5,000万円以下か労働者が50人以下であることという規定があります。
サービス業は、資本金が5,000万円以下か労働者が100人以下、卸売業は資本金が1億円以下か労働者が100人以下です。
そのほかの業種においては、資本金が3億円以下か労働者が300人以下となっています。
ここでいう労働者は、常時雇用でなければ規定に当てはまらないため注意が必要です。
このように業種によって適用要件に違いがあるので、必ず確認のうえ申請するようにしましょう。

■キャリアアップ計画書の重要性

キャリアアップ助成金を受給する際には、事前にキャリアアップ計画書を提出します。
こちらは、どのような計画を持ち、従業員のキャリアアップを行っていくのかを示すものです。
計画書を作成する際には、それぞれの企業が打ち出した計画に合わせて実際に行う訓練が適合しているかをしっかりと示さなければいけません。
計画書を確認し適合性や整合性があると認められなければ、残念ながら助成金が支払われることはありません。
キャリアアップ助成金は、従業員の正社員化を目指し社会保険の加入者を増やす目的もあるため、従業員だけのモチベーションを上げるのではなく長く安心して働ける環境を事業主が整え雇用関係を深める必要があります。
そのため、事業主がなんの目的もなくキャリアアップ助成金を申請しても国に計画性をきちんと持って従業員のキャリアアップを目指している貴重な企業だと認めてもらうことができなければ助成金を受給することは困難です。
事前に労働局やハローワークに提出する計画書の内容に信ぴょう性がなかった場合、支給が見送られるケースもあります。
スムーズにキャリアアップ助成金を受給するには、まず事業主が整合性のある計画書を作成することができるように事前にしっかりとキャリアアップ助成金の目的を把握することが大切です。
ただ闇雲に申請しても不支給となってしまう可能性が高いため、現在用意されている7つのコースの内容や適用要件を確認してみましょう。

■受給するまでの流れ

キャリアアップ助成金を申請時には、事前に計画書を提出するだけでなく多数の必要書類も揃えなければいけません。
申請するコースによって提出する必要書類には違いがありますが、支給要件確認申立書や管轄労働局長の確認を受けたキャリアアップ計画書のほかにも多数の必要書類を労働局やハローワークに提出することになっています。
これらの書類は、厚生労働書のホームページからダウンロードすることも可能です。
キャリアアップ助成金の申請の流れは、計画書を作成後、労働局やハローワークに提出することから始めなければいけません。
その後、計画書に沿って訓練や取り組みを実施し、労働局やハローワークに支給申請した後に支給に関する審査が行われます。
審査が無事通過すると助成金が支払われるという仕組みになっていますが、できるだけスムーズに審査を通過するために事前に厚生労働省が発表しているガイドラインなどを参考にし理解を深めておくことが大切です。

■助成金を有効に活用して事業主と従業員の意欲を高める

すでにキャリアアップ助成金を受給し、非正規雇用の労働者のキャリアアップやスキルアップを実現する大手企業や中小企業が増えています。
正規雇用労働者への転換を実現しているだけでなく、職業訓練などを通して人材育成に励んでいる事業主も少なくありません。
また、健康診断の導入や社会保険の適用が進み、従業員の仕事への意欲が高まるなど多くのメリットを実感することができている企業も多くあります。
一見、キャリアアップ助成金を申請するのは手間がかかり大変なのではないかと思われる事業主も多いかもしれません。
しかし、計画書などの書類の作成方法や申請方法をしっかり把握し、さらに手続きの流れを知っておくとスムーズに受給できます。
厚生労働書のホームページでは、キャリアアップ助成金の明確なルールが提示されています。
まずは、どのような条件で申請することができるのかを確認してみてはいかがでしょうか。
また、近年では社労士などの専門家の力を借りて申請手続きを行う企業も増えています。
事業主だけで手続きを行うのは心配だという方は、専門的な知識を持ったプロに相談してみることもおすすめの方法です。